フィギュアモデリングのページ

本来はライトな空モデラーだったのだが、ディテールに無頓着な性格なせいで
ただ素組みするだけでは飽きてしまっていた。人物画を描いていた事もあって、
より難易度の高いフィギュアのフルスクラッチに手を染めていた。
作品の写真を発掘したので此処に晒してみる。

10/03/03 掲載雑誌が幾つか見つかったので晒してみる。(閲覧は Firefox 推奨)
ウエニモドル
アマチュア時代

 超時空世紀オーガス のヒロイン ミムジイ・ラース
 フルスクラッチビルド 1/6 スケール

 元々は超時空要塞マクロスのヒロイン、リンミンメイとして造ってた。
裸の状態までは仕上がったのだが、
どーにも気に入ったコスチュームが無かったので放置。
流石に素っ裸のままでは気まずいので
濃紺水着風に塗装はしておいたが。
 そのうちオーガスが始まってミムジイが世に出た。
これなら苦労して造ったボディーラインをコスチュームで
隠さずにすむ、ってんで造りなおし。

はっきり言ってキャラ自体への思い入れは皆無。アニメも殆ど見なかったし。
これに限らず公開した版権物は全て例外無く思い入れなんて微塵も無いのだが。

ファンロードのコンテストか何かに応募して佳作を貰った記憶がある。
写真撮影がうまく出来なかったので実物を編集部に送ったのだが、
設定画のポーズなのに真正面見下ろし気味に撮影されてorz
一般誌ならいざ知らず、アニメ誌なのだから当然分かってくれると
思っていたのだが・・・。その上戻ってきたら足が片方折れてるし、散々だった。


The Five Star Stories FATIMA CLOTHO 1/6 Scale

角川書店 重戦機エルガイム-[1] p55 Fatima Fatis + The Five Star Stories のクローソー

永野先生によるロジャー・ディーンパクりオマージュイラストをクローソーで作った。
これを作るバカは流石に居ないであろう、作ってみるべとでっちあげた。
頭髪は確か紙粘土、体の芯はバルサだったような。他は何を使ったのか覚えていない。

この頃フィギュア原型師の仕事をしてみたくなり、関東にあるガレキメーカーで
ヲタク臭く無さげなWAVEに的を絞ってアポ取ってコイツを持ち込んだ。
これはウケるだろう、仕上がりよりインパクト重視!!
目論見は見事にキマり、応対に出た開発部の方々にバカウケ。
「ほんとに作る奴が居たとは思わなかった」
「目の当たりにするとキョーレツだなあ」

しかしここで意外な盲点が発覚。
「惜しいなあ、ファティマスーツって艶有りなんだよね」
俺:「へっ・・・?」

そう、持ち込んだ時点ではつや消しだったのだ。シャツ?はパール入りのグロスを
粒子粗く吹き付けてあるのだが、スーツ?(赤い部分)はベルベットをイメージしてた。
永野センセのイラストを見ただけでは艶有りとはとても思えなかったんだけど。
元になったイラストはエルガイム時代の物でFSSとは時期が違うし。
しかしそういわれてみれば漫画ではシャドウの入れ方がキツかったような・・・。
原型師として採用される確約を得、持ち帰ったあとグロスで塗装しなおし。



WAVE専属の?フィギュア原型師時代の製品

 TVアニメ 超音戦士ボーグマン ヒロイン アニス・ファーム
 WAVE 1/8 スケール

WAVE で原型製作を請け負った最初の製品。
開発室で何を作ろうかと担当者と打ち合わせをしたときに
月刊アニメージュを提示された。パラパラとめくっていて
担当者に幾つかキャラを指定されその中から「じゃあコレを
作ります」と実に安易に決めた。それまでキャラデザの
菊地通隆先生の事は知らなかった。
アニメどころかTVを殆ど見ないんで。

制作はえらい苦労した。自分本来の芸風からは大きく逸脱
してる上、先行他社の製品よりも良い物をなどと経験浅い
クセに気張ったせいで、途中で一から作り直すハメに。
その際に服の厚みを可能な限り薄くし、エッジも研いで
軽快さが出るようにした。分割ラインも工夫して、
素組みでも接着面が目立たないようにした。

普通顔とウインク顔を選択できるように首を別パーツに
した
Hobby Japan 1988/10 No.233 作例記事より
が、ちょっとすわりが悪くなってしまった。

元になった描き下ろしセル画はウエストショットだったので、
スカートより下のポーズはテキトーにでっち上げ。
完全な設定画を貰えなかったので 後姿がどうなっている
のか分からず
Hobby Japan 1988/10 No.233 作例記事より
、仕方なく1度だけ番組を録画して調べた。

アニスはキャラ自体にそこそこ人気が出て、WAVE の
フィギュア製品としては異例な「チョコレート型製作」を
するほど売れたそうだ。おかげで「菊地/麻宮キャラは
きゅーり君に」みたいな変なレッテルが貼られちまった
らしく、最後まで他の作家作品をやらせてもらえなかった。

静岡の模型見本市に小売店の立場で参加すべく会場に
向かう途中、自分のすぐ目の前にいた二人組みが他社製品と
このアニスを比較して褒めちぎってくれてたっけ。
あの時は嬉しかったなあ・・・。

写真は月刊ホビージャパンの作例記事用に編集部が
撮影したもの。たしかコレは店頭展示用で、
他にもう一つ完成品を制作し菊地先生に譲渡した。


TVアニメ 超音戦士ボーグマン ファントム・スワット 桂 美姫
 WAVE 1/8 スケール
これも苦労した製品。つーか氷室美久以外は全部苦労したんだけど。
とにかくパーツが多く、フィギュアというよりもポーズ固定のロボットキットに近いカンジ。
ポーズは当時の担当氏(後にスピンアウトしてファルシオンを立ち上げる)が考えた。
ヘルメットを小脇に抱える為、先にそいつがキマらないとポーズが煮詰まらない。
坊主頭で凡そ仕上げてヘルメットを被しバランスを取り、それから左腕のポーズを変更した。
次の製品から担当するS氏が無茶な注文を付けてくれたのが強く印象に残っている。

S氏:「ヘルメットを被せられるように出来ませんか」
俺:「頭髪を別パーツにするんですか? 前髪別パーツ化さえ嫌がってたのに?」
S氏:「いや、髪の毛全部一体成型で」
俺:「無茶言わんで下さいよ! 本物みたいに髪の毛潰れないんですから!」

製品は概ねダボの噛み合いで接合がキマるようにしたが、両膝の噛み合いが甘く
組みに慎重さを要求する出来になってしまった。顔の立体感を強めに(リアル志向に振って)
したらやり過ぎて眼球が多少出っ張り気味に。デカールで手を抜けず嫌でも塗る必要がある。
(2015/10/16 追記)
この手のフィギュアを購入する層の多くは萌え系の芸風を好むので、
リアル系へ振るのは商売的に好ましくはない。
確かこの桂美姫からだったと記憶しているが、原作者からの
「できるだけリアルっぽく」というリクエストに応えた(つもり)だけだった。

作例記事用の完成品
Model Graphix 1989/05 作例記事より 完成品制作:神無月氏
は、 後に香津美以外のサイメビキャラを手がけるモデラー神無月氏が制作し、
月刊モデルグラフィックス誌に掲載。確か店頭展示用も兼ねていたと記憶している。
(2005/11/23 追記)
彼は大柄で性格も大らか、気持ちの良い青年だった。作例完成後に
「きゅーりさん、塗るの大変だったんですよ~」
と言われた。原型チェックの時に「表面処理が荒い」と言われてムキになったオイラは
乾燥後の塗膜が堅い塗料を塗ったくりコンパウンドでツルツルに
磨いてから納品したのだが、彼は洗っただけで足付け無しで塗装をしたらしい。
ツルツルでは塗料が食い付かず、マスキングテープを剥がしたら
塗った塗料までベロンとハゲたそうだ。ハゲた塗膜を塗料で貼り付けて
誤魔化したそうだからその根性には恐れ入った。

彼:「時間無かったし、誤魔化すの苦労しましたよ。塗り直ししませんでしたけど」
オレ:「・・・普通、離型剤落とすために一皮剥くつもりで研がない?」
彼:「え~、そこまでしませんよ。メンドクサイじゃないですか」
オレ:「俺なんかスポンジタワシとクレンザーでマット(つや消し)になるまで磨くよ?」


彼が作例を作ったので、自分は菊地先生に譲渡する物のみ完成品を制作した。
担当S氏によれば先生はその完成品をえらく気に入っていただけたそうで、
他のフィギュア完成品を押しのけて最も手近な場所に飾ったそうだ。
・・・・が、ご本人に確かめたわけではないので話半分に聞いてたが。
S氏は原型師をやたらヨイショする人だったからなあ。
ヨイショと言えばS氏は俺の事を「きゅーり先生」と呼ぶんだけど、

俺:「先生なんてやめて下さいよ。しょせん俺は二次著作物を作ってるだけなんですから」
S氏:「そうは言っても、一応フィギュア原型という作品を作っているわけだし」
俺:「自分は他人の2次元デザインを3次元にコンバートしてるだけですから。ましてや
自分の芸風を加味するどころか可能な限り足さないように心がけてますんで。作家を
気取って良いのはデザインをした人だけでしょう。だから先生呼ばわりしないで下さい」
S氏:「そんな事を言う人は初めてだ」

某ユノスで有名な荒木元太郎氏みたいに
自分でデザインした作品を創っている”のならともかく、
俺なんて只の2D-3Dコンバート屋でしかなかったからなあ。

HOBBY JAPAN EX 1989 SPRING ISSUE より
完成品制作:神無月氏
↑アーマー無しの状態。背面のアーマーは一体成型。

↓ヘルメットは一応内部のディティールも作りこんである。
製品の頭髪ボリュームを削り込んでメット被せても、
設定画どおりのバランスとイメージになるよう造形してある。
HOBBY JAPAN EX 1989 SPRING ISSUE より
完成品制作:神無月氏

麻宮騎亜著・サイレントメビウス ヒロインの香津美リキュール WAVE 1/8

マンガ連載に一ヶ月くらい遅れて制作がスタート。
最初はこんな大規模な製品になるとは思っていなかった。
先行他社が手にナイフを持たせて製品化してたので、ウチも何か持たせましょう、
麻宮先生にオリジナルの剣か何かをデザインしてもらって・・・という話に。
しかし、描き下ろしのラフ
描き下ろしのラフ Copyright (C) STUDIO TRON/麻宮騎亜
を見せられてぶっ飛んだ。なんじゃこりゃあああ!!
フィギュア本体よりデカイではないか!! ちょっとマテ。話が違う!!
その上、造形の拠り所となる原作が、毎回顔の芸風が変わる。
詳細は書けないがわざと変えていたそうだ。御蔭で顔のラフが出来上がる頃には
原作の顔が変わってしまっていて、しかも「最新の顔にしろ」と原作者からの指示。
フザケンナ!!こんなんじゃ何時までも完成しねーだろーが!!
原作の芸風が落ち着いて製品が完成し、宣伝を兼ねた作例記事が出てまた怒り心頭。
B-Club の作例記事で「似てない」とバッサリ。そのくせ作例は俺のより似ていないから
なおさら腹が立った。「散々弄くって」おいて、俺のより似てないってどーよ?

見てのとおり重心が上に来るポーズなので自立しそうに無かったのだが、
意地で自立させた。バカ正直に造形せず剣の切っ先を後ろに引いて
3点支持にアレンジしておくべきだったかもしれない。

写真の完成品は作例記事等には使われず、広告及び店頭展示用。
例によってもう一体完成品を麻宮先生に譲渡。


邪悪な剣・剣皇グロスポリナー

問題のグロポリ。真空注形で量産するということで芯にピアノ線を用い、
造形はタミヤのエポキシパテをふんだんに使用。
いつもの事だがロクに資料が無い上、デザイナー氏のラフと
原作の一コマ々々々まで全て形が違っていた。
更に柄?のあたりはどんな形しているのか皆目不明ときたもんだ。
こうも原作の描写がバラバラだと、割り切って自分の好みで作るしかない。
元絵どおりに作ると、グロポリ単体で見たときに刃がだらしなく
垂れ下がってるようにしか見えないため、大幅にアレンジを入れた。
それでも若干垂れ下がり気味で、もっと割り切って凛としたスタイルにすべきだった。

量産方法が二転したのにも参った。切っ先から柄尻まで真空注型で一発成形だと言うから
ピアノ線を芯にしたのに、完成間近になってから「遠心注型にする」というorz
そのままでは遠心注型機に収まらないので、
えらい苦労して(ゴツいピアノ線が入ってるから)切断・成形しなおした頃
「やっぱり真空にて1発成形で」・・・orz
別パーツにした「顎」や「額」を手に
「いいでしょー、ホワイトメタル製ですよ」
とはしゃぐ担当氏を尻目に
(ただでさえ重心が高くて自立し辛いのに比重の大きい材質を使ってんじゃねーよorz)と
モチベーション下がりまくりですた。

支えのL&Mは当時よくのんでた。WAVEの阿部社長がこれを見てすかさず、

「おっレッドミラージュだね☆」

と言ったのが強く印象に残ってる。

俺:「へっ?レッドミラージュってRED MIRAGE じゃなかったでしたっけ?」←バカ
阿部社長:「いや、エル・イー・ディーだから」
俺:「あ、あれ?そうでしたっけ?あは、あははははは」←バカ丸出し

阿部社長は模型流通出身で、およそガレキメーカーやるようなイメージの片鱗も無い
ナイスでイケてる実業家って印象が有ったのだが、
何気にモーターヘッドが大好きなのかもしれない。そのギャップが新鮮でした。

下の画像、上が製品で下が1次原型と型取りしたシリコーンゴム型。
1次原型は大分垂れ下っている。型取り後に熱湯に浸し反りを矯正したものを
納品用2次原型とした。






他には「OVA版ゼオライマーの氷室美久」を制作したが、
完成品の写真や掲載雑誌が手元に無いうえに、ストックしてあったキットは両肩アーマーと襟の一部を紛失。
全て作例記事があったが、掲載雑誌は全部処分しちゃったような気がする。
10/03/03 (掲載雑誌が幾つか見つかりました)
WAVE 製品は未組み立てのキット状態なら手元にある。しかし、
それぞれ店頭展示・広告用と原作者に譲渡したもの2体づつ製作したので
もうお腹一杯、完成させる気は更々無い。



高校時代に1/15 キッチ・キッチン、卒業後にミムジイ、ファティマ・クローソーの計3体、
WAVE時代にアニス、桂美姫、氷室美久、香津美の計4対、合わせて合計7体か。
意外と少なかったのだな。なんか沢山つくったような気がしてたが。
キッチ・キッチンは物凄くいい加減な代物で、
顔は厚紙の顔面に鼻を立てただけ、指はホチキスのタマだった。
それなりに真面目に作ったのはミムジイとクローソーだけで、いきなりプロデビューしてんだよな。

因みに他人が原型製作したフィギュアキットは一つも完成品を作った事が無い。
つーかそもそも買った事無いし。貰い物や売れ残り(自宅が模型店だった)なら持ってた?が。
コミケやパソケ、ワンフェス等には提供側で参加したが、買い物した事が殆ど無いんだよな。
SOFT HOUSE 印度人では両隣のサークルと作品交換はしてたけど。
当日朝まで製作して、製品を届ける為だけに列に並んで、
入場・製品渡した後に即行で帰宅した事もあったっけ。
当時はケータイなんて便利なもの無かったし、入場者の呼び出しは運営が応じてくれなかったから。
わざわざ長蛇の列に並んで、ましてや炎天下の夏コミとかで
日射病で倒れてまで買いに行く人から見たら信じられないかもしれないが。
というか初めてのコミケが"伝説の空調停止夏コミ"だったんで、決定的にコミケ嫌いになってたし、
あんなもの日射病で倒れてまで参加する者の気が知れなかったというか。
SOFT HOUSE 印度人ではソフトを作る事にしか興味無かったし、WAVE の時はビジネスと割り切ってた。
キャラそのものに多少思い入れが有ったキッチ・キッチンは厚紙顔のホチキス指で、
思い入れもへったくれもないWAVE製品は胃を壊す程真剣に取り組んでたり。
そーいや桂美姫制作で行き詰まってた頃、バイト先のトイレで休憩中にゲロゲロ吐いたっけ。
フツー逆だよなあ。




本ページの内容は十数年以上も昔の話を記憶を元に記述したものなので、
間違っていたり勘違いを記述している可能性があります。
例えば完成品を気に入って頂けたと担当氏が言ったのは
「桂美姫を菊地先生が」ではなく「香津美を麻宮先生が」だったかも~…とか。
その他、会話は正確な記述では無く「こんな感じの内容」という程度で、多少脚色が入ってます。

チョコレート型
殆どのガレージキットはシリコーンゴムのメス型に2液硬化ウレタン樹脂を流し込んで量産する。
ウレタン樹脂は主剤と硬化剤を混合すると発熱するが、この硬化熱でゴム型が急速に劣化する。
1つの型で生産できるロット数は、離型剤を使って最大約100個くらい。それ以上量産する場合は
80~100ロットごとにいちいち原型から型取りをしてゴム型を製作しなければならない。
ゴム型製作は一般に粘土等に原型を半分埋めてシリコーンを流し込み、
硬化したら粘土を除去して反対側にもシリコーンを流して・・・と、
莫大な手間が掛かり人件費が嵩む。また、何度もやると原型が痛みやすい。
ある程度出荷数が見込める製品では、1回目のゴム型を製作したらそれをマスター型として
ゴム型量産用の反転型を製作する。反転型にシリコーンを流すだけでゴム型を作れるわけだ。
反転型に使われる樹脂は製品用の収縮率の大きい安物ではなく高級品が使われ、
色と質感がチョコレートと酷似していることから「チョコレート型」と呼ばれるようになった。

足付け
一般的な塗装用語。被塗装物の表面がツルツルだと塗膜が剥がれやすい。
塗料は被塗装物の表面に「くっ付いて」いるだけで溶け込んでいるわけでは無いからだ。
自動車板金塗装では、下地色と塗装色の組み合わせにもよるが#400~600くらいのサンドペーパーで
「ワザと」表面を荒らす。微細なキズに塗料が入り込む事で剥がれにくくなる(投錨効果)。
ただしこれは一般的な「安い」板金塗装の場合で、数年経つと塗膜が痩せて
足付けのキズが浮かび上がる場合があるらしい。
高級な塗装では密着性能の高い専用のプライマーを使い、
足付けは可能な限り目の細かいサンドペーパーを使うそうだ。

(2012/3/7 追記)
菊地通隆/麻宮騎亜
書いちゃえ、今となっては秘密でも何でも無いみたいだし。
同一人物なのをカミングアウトしてたのは知っていたが、公式サイトに記述があったのは知らなかったよ。

当時菊池先生は麻宮騎亜名義と別人のフリしてて、その主張を強化すべく絵柄を描き分ける為に、
サイメビ連載を機に毎回絵柄を変えて試行錯誤したそうなのよ(俺の担当いわく)。
単行本化する際に大幅な修正が施されてるが、よく見ると残滓が残ってる。
連載時は、それはそれはもう本当に滅茶苦茶だった。

余計なお世話だが、麻宮先生のデッサンが決定的に歪(いびつ)になったのは
この頃からだね。それに加え、よせば良いのにフィギュアからデッサンの
フィードバックをしていたらしくて(二巻の表紙絵なんかモロ)、ますます
おかしくなってった印象が強い。描き分けを意識していたのはどうやら
ヴァグランツの頃にはあったようで(憶測)、桂 美姫の頃には体のデッサンが
はっきりとおかしかった。あれの時は、そのまま立体化すると変に鳩胸な胸部に
アンパンを二つくっ付けたような乳房になってしまうから、頭を抱えてしまってね。

そんな時に開発室S氏(だったかな?)から、参考にって渡されたのが、たしか悠宇樹先生のエロ漫画。
絵柄がそっくりで(当時)なおかつ体のデッサンが比較的マトモだった。これ幸いと、
桂 美姫 以降は素体の造形を悠宇樹先生のデッサンをベースにしてた。

一応、菊池/麻宮先生の名誉の為に書いておくが、当時参考用に担当に見せてもらった、
サイメビより古いGoodMorningアルテアの設定画のプロポーションはマトモだったと記憶している。

ウエニモドル